ojos de perro azul:青い犬の目

青が好き。時々刻々と興味・関心が移ろいで行きますが、あまり守備範囲は広くありません、

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

秋は短し

少しずつ暑さも遠のき、過ごしやすくなっている。空模様も秋に近づいている。 夏はとにかく暑いので、印象が強い。けれど、秋は夏が終わったかと思うと、すぐにやってきて、気がついたらもう寒い冬である。秋はどこに行ってしまったんだろうと、毎年思う。 …

『君の名は。』、断絶する昼と夜、黄昏時の亀裂

『君の名は。』のキーワードは黄昏(誰そ彼)だ。黄昏時は、物理的に人と人の見分けが単につきにくくなるというだけでなく、古代世界においては、現代とは異なる時間意識が下地にあった。 古代日本においては、昼と夜は、連続していく時間の中に収まる二つの…

『秒速5センチメートル』、あなたまでの距離はどのくらいなんだ?

『秒速5センチメートル』のキャッチコピーは、「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」だ。 このアニメーションを見た人の中には、自分の経験と重なり合う人がそれなりにいるのではないだろうか? 概して、女性の方が男性よりも大人である。こ…

『君の名は。』、黄昏時の接続

誰そ彼と我をな問ひそ長月の露に濡れつつ君待つ我そ(万葉集)作者不詳 誰だろうあの人は、と私の事を尋ねないで。長月の夜露に濡れながら、あの人を待っている私のことを。 黄昏時、そこにいる人が誰だか分からなくなる。私とあなたの区別がつかなくなって…

未熟なフーコー・チルドレン

1970年代に『言葉と物』が新潮社から出版されて以来、数多くのフーコー・チルドレンが彼の著作に群がった。ファッションとしてのフーコーは、その風貌の影響とともに、世間を風靡した。 『言葉と物』や『狂気の歴史』を携えていればかっこよく思われた。でも…

RADWIMPSの意味

毎日、radwimpsの話題が絶えないが、ここしばらく彼らの音楽を聞いてハッとした。彼らの音楽は私に20代の頃の風景を思い出させてくれる。夢があり、日常生活があり、明日があり、哲学があり、なんでもある20代の頃を思い出させてくれる。年老いていき、何に…

荒川の河川敷

荒川の埼玉あたりの河川敷に腰掛けて、少し目の前を走っていく東北新幹線をよく眺めていた。田舎でもなく都会でもない風景を眺めながら、ただただ新幹線を目で追い、同時に目に入ってくる青空の遠くを、その彼方を見つめていた。 この瞬間が永遠に続いて行っ…

「最後の〜」愛惜

『ラストエンペラー』は清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の生涯を描く。1867年、江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜は大政奉還を行った。1922年、オスマン・トルコ帝国の最後の皇帝、メフメト6世はイスタンブールのボスポラス海峡沿いのドルマバフチェ宮殿を後にする…

地震とグアテマラ

昨日発生したイタリアとミャンマーの地震で、むかし滞在していたグアテマラのことを考えた。 グアテマラは行ってみれば分かるが、山の多い地形である。首都のグアテマラ・シティはそうでもないが、嘗ての首都アンティグア方面に行くと、山がちな景色の中に町…

「ブレス」に出会うまで

「ブレス」とは、RADWIMPSの名曲である。ある何かに出会うまでに、人はどのような経路を辿るのだろうか? ほんの1年ほど前、私はRADWIMPSの存在を全く知らなかった。私がRADを知ったのは、伊藤万理華と松井玲奈を通じてであった。この二人は乃木坂46のメンバ…

大地震

今朝、イタリアとミャンマーでマグニチュード6レベルの大地震が起きた。 イタリアでは240人が死亡した。アマトリーチェは壊滅的被害を受けた。ミャンマーでは死亡数は少ないものの、林立する名高いバガンのストゥーパが大打撃を受けた。 私は東日本大震…

惣領冬実版『マリー・アントワネット』

先週のモーニングから全4回で惣領冬実が『マリー・アントワネット』を描いている。 彼女の『チェーザレ』が好きでよく読んでいた。今回の作品の評価はまだできないが、惣領冬実の少女漫画タッチの画風は、ヨーロッパの歴史物を描くのに適していると思う。 で…

クリストファー・ノーランが描く蝙蝠の世界

クリストファー・ノーランは蝙蝠の世界を描いた。空高く舞い上がり、華麗に飛び回る蝙蝠の姿は、ゴッサムシティの守護神が蝙蝠であることを告げている。 ゴードン率いるゴッサムのポリスが地上でジョーカーを狙い撃つ。夜の空にはバットマンがいて、地上に降…

芥川龍之介の死

太宰治や三島由紀夫はその衝撃的な自殺によって、死んだ日付が世間に刻印されている。6月19日(桜桃忌)。11月25日(憂国忌)。しかし、同じ自殺でも、芥川龍之介はその日付が刻印されるほどではない。戦前に死んだことを知っている人はいても、一月前の7月2…

四つの福音書

聖書は、冒頭からひたすら読もうとすると、おそらく、もういいよ読むのやめた、となる。こうした大部の書物を読むときは、全体の見取り図を確認しながら読むといいと思う。 それには、聖書自体を読む前に、予備的な知識を頭に入れてから読むのがいい。当時の…

音楽を聴き入ることへ

カラオケが日本に根付いて久しい。ゲームセンターやボーリングに行くよりも、カラオケに行くという家族やカップルが今では多いのではないかと思う。 カラオケが流行るというのは、一つには音楽が歌の部分というかボーカルとして捉えられている、ということが…

シャイニング

先日まで、はてなの映画の夏と題するブログを募集していたが、私の長年のベストワン映画は『シャイニング』であった。中学生で見て以来、ずっと長い間、一番好きな映画だった。と言ってもホラー映画が好きなわけではない。ホラー映画は全く見ないし、気味が…

原宿、水戸、移動手段

原宿は随分前に、若者の街と言われていた。実際、若い人に向けたファッション街ではあるけれど、歩いてみると落ち着いた感じの街で、すぐそばには明治神宮もあるし、高級住宅街でもあり、チャラっとした軽い感じとは少しちがう。 表参道や青山といったオシャ…

マウンテン

名古屋にマウンテンという喫茶店がある。全国的に有名かどうかは分からないが、割と知られているような気がする。見たところ、普通の喫茶店というか、ご飯屋さんのようなお店である。何も知らずに、普通に入ってご飯を頼むと、多くの人が出てくる量の多さに…

言葉がメロディーに溶け込む、RADWIMPS

日本語が理解できる我々には、J-POPを聞くと、どうしても言葉がメロディーと同時に耳に入ってくる。考え事や本を読んだりして言葉に接している時、そばで言葉が鳴り響いていると、邪魔になり集中できない。クラシックやジャズといった音だけの世界だと、邪魔…

スターウォーズという物語

人に誘われたので、近々スターウォーズ展に行くことになった。 私はスターウォーズのファンだ。キャラクターも好きだし、ジョン・ウィリアムスの音楽も心躍る。でも一番好きなのは、その物語。スターウォーズを見たことがない人や、あんまりという人は、良い…

岡山、倉敷、松江覚書

私は計画的に旅行するのではなく、急に行きたいと思って旅行するので、いつも宿が取れるか取れないかギリギリである。今回も急に行こうと思ってネットで調べたが、行きたい日は空室がなく、残念ながら少し日をずらした。 岡山は4回目くらいだから、今回は駅…

『寄生獣』再読

旅行に行く前、たまたま『ネオ寄生獣』を読み始めた。なかなか面白いので、旅行に持っていった。それで『寄生獣』本体も読みたくなり、移動中ネットで読んでいた。 昔読んで衝撃を受けたが、再度読んでもやはりすごい作品だと思った。20年前の作品とは思えな…

松江市

昨日は松江に行った。 倉敷から松江まで2時間半。特急やくもに乗って。 夕方4時頃、大橋川から宍道湖を望む。 松江市は典型的な地方都市である。商店はまばらで、駅の改札も未だに自動化されておらず、初めて訪れたらどこで昼ご飯を食べたらいいのか迷って…

岡山、倉敷

今日は岡山と倉敷を回った。 岡山駅前の噴水 倉敷駅前の時計 倉敷美観地区

無機質な空間、音

以前、都心の高層ビルにオフィスを構える企業で働いていた。外から見ると、確かに何十階もの高層ビルであるけれど、中に入ると不思議なくらい高さが感じられない。何しろ、窓があるにはあるのだが、外の景色を見るというほどのものではない。会社の中も不思…

田宮良子の娘

田宮良子と聞いて、誰だと思う人が多数だろう。『寄生獣』の登場人物で、人間ではない。 今日、本屋に寄ったのは『ネオ寄生獣』を買おうと思ったからだ。岩明均の『寄生獣』のさらなる様々な続きを描くこの本は、いかに『寄生獣』が影響力を持った作品であっ…

a day in the life

昔、ベストセラーということで、村上春樹の『ノルウェイの森』を読んだ。面白かったし、若い人にはドキッとする表現も出てくるので、エンターテイメントとして楽しめた。でも、当時はそれだけだった。彼が書いていることの真意は分からず、だから『世界の終…

untitled

今日の夜明けは4:48。夜明けまでにはまだ時間がある。魂の暗闇までにもまだ時間がある。 人の心は計り知れない。予測はできるが、落とし穴はある。神宮球場にヤクルトの試合を見に行ったことがあった。広いマンションの一室で夕日が沈んだすぐ後に、カーテン…

アポカリプス

新約聖書最後の文書『ヨハネの黙示録』は、新約の最後を飾るにも拘らず、新約の中で一番旧約的な文書です。バビロン崩落の預言を描くこの文書は、ユダヤ教徒や原始キリスト教徒たち、つまり虐げられた者たちへの共感と彼らの視点からの物語を活写しているか…