カラオケが日本に根付いて久しい。ゲームセンターやボーリングに行くよりも、カラオケに行くという家族やカップルが今では多いのではないかと思う。
カラオケが流行るというのは、一つには音楽が歌の部分というかボーカルとして捉えられている、ということがあるかと思う。つまり、ギターやベースやドラムなどといった伴奏ではなく、ボーカルとして音楽が捉えられているということである。
J-POPを聞くと、まずボーカルの旋律が一番よく聞こえてくると思う。私たちは歌われている歌詞を聞き取ろうとする。それが一般的な聴き方だと思う。けれど、風景に焦点/背景という二つのアスペクトがあるように、音楽にも焦点/背景という二つのアスペクトがあると思う。つまり、ボーカルに焦点を合わせて聞けば、伴奏は背景に退くが、焦点と背景は反転可能で、伴奏に焦点を合わせて聞けば、ボーカルは背景に退く。
自分の気に入っている曲を伴奏に焦点を当てて聞いてみれば、今まで何となく聞こえてきた伴奏部分が鮮明に聞こえ、そこで演奏されている旋律の格好良さに、ゾクッとすると思う。そして伴奏部分でも、ギターだけではなく、伴奏の伴奏とでも呼べるベースやドラムの演奏、特にベースの旋律をよく聞いていれば、なかなか分かりづらいが、すごいと思う演奏が繰り広げられていると思う。
Mr.ChildrenでもスピッツでもRADWIMPSでもサザンでもSEKAOWAでも、ボーカルではなく伴奏に注目して聞けば、新しい彼らの姿が見えてくる。そしてもっと深くその音楽を聴き入ることができる。