コスモスは、秋の桜である。その桃色の花がとても可憐で美しい。
コスモスの咲く頃になると、夏もとうとう見納めで、あたりは涼しさに満ちてくる。
街を行き交う人たちも、落ち着きを取り戻して、夕暮れの買い物を済ませている。
約束の海まで ボロボロのスポーツカー
ひとりで行く クロールの午後
君の冷たい手を暖めたあの日から手に入れた浮力
ささやく光 浴びて立つ 君を見た秋の日
寂しげな真昼の月と西風に
揺れて咲くコスモス 二度と帰れない
時間が止まってしまうことがあるのだろうと思う。
浮力を手に入れ、宙に浮き、その場所から、その時間から前に進めない。
そして、あの頃の日々に帰ることもできない。
ただ、コスモスだけが、あの時と同じように揺れている。
コスモス=宇宙。その中に、世界のあらゆるものが映し出されている。