ドボルジャークの『新世界』は、彼がアメリカに初めて出会った時の印象を音楽にしたものである。全4楽章のこの交響曲は、どの章も素晴らしい旋律とリズムで、今まで色々な指揮者が様々な解釈で演奏をしてきて、こんなにも違うのかと思えるいくつもの演奏がある。
私はクラシックが好きなので、いろいろと講釈をしてしまいがちである。けれど、巷では、クラシック音楽というと、真面目な感じでつまらない、とっつきにくいという人が多いと思う。
確かにお堅いイメージはあるし、紳士淑女然として演奏する様は、見ていて退屈だと思う。
けれど、クラシック演奏家はちょっと風変わりな人が多いように思うし、面白い人が多い。演奏会の風景とは違って、その裏側はおそらく普通の会社員と比べてみると、かなりリラックス感があって、開放感があって、面白味があるように思う。
クラシックの良さも少しは分かってもらって、もう少し幅広い人が聞いてくれたらなと思う。
それに、おそらくいろいろなクラシック音楽を理解して、聞きこなせてくれば、それは結構幸せなことだと思うのだけれど。
例えば、ブルックナーの9つの交響曲、シベリウスの7つの交響曲、ベートーヴェンの32のピアノソナタを理解できたなら、長編の古典を数冊、理解するのに匹敵する力が身につくと思う。
小説の、ある文章が、それまでに感じたことがない複雑な感情を体験させてくれるのと同様、交響曲のある旋律も、それまでに知らなかった繊細な感情を体験させてくれる。
音も心に、何らかの意味となって現れてくるものである。