世間は夏休みに入って、子供たちが街に溢れ出している。
ふと、私が小学生の頃を思い出した。今はもうないように思うのだが、学研から『科学』と『学習』という雑誌が出版されていた。通称、科学と学習。地味な名前で、言葉だけ見ると全く関心が湧かないが、言葉とは裏腹に、この雑誌は当時の科学少年の心を大きく揺さぶった。
この雑誌のメインは『科学』の方で、それも雑誌ではなく雑誌についているキットが待ち遠しかった。天体望遠鏡、アリを入れてその様子を観察できるアリのお部屋、星座スコープ、顕微鏡など。毎回、すごーいと思わせるキットが入っていて、費用はあまりかかっていないのだろうけど、その発想力に取り憑かれた。
雑誌の方も、科学・学習ともに楽しめたが、このキットがなければ購入していなかったと思う。学習の方で覚えているのは、迷探偵荒馬そうかいという漫画。
小学生の頃、私は本を読むよりも山に行ったり、林に行ったり、タニシやザリガニを捕まえたり、自然と接触するのが好きで、科学のキットはその延長線上にあって、さらに自然を深く知る縁となった。けれど中学生になってからは学校の勉強自体つまらなく、特に理科はつまらなく、理科の心から遠ざかってしまった。