オレンジ色のナトリウム灯の明かりが続く漕艇場のドックに立って、遠くの暗闇を見つめていた。すぐそばを並行に走っている荒川の暗闇を、遠くから眺めていた。
その彼方には何もないようで何かあるように思えた。
じっと見つめていたら、何かが見えるように思えた。
今朝、出席票を見て驚いた。
そこに外国に帰ったとばかり思っていた人の名前が記されていたからだ。
名字だけでなく名前も記されていたから間違いはなかった。
だけど、本人がいるか確認はしなかった。怖かったからだ。
一目見たらホッとしてしまう。だけど、またいなくなってしまうだろうから、突然の消失に気落ちしてしまうことを思うと、複雑な気持ちになってしまったのだと思う。
でも、まだ日本にいるんだと思うと、嬉しいし、ホッとする。
暗闇の中の微かな光。今日、そういう体験を私はしたように思う。