昭和はいつ消え去ってしまうのだろう?
昭和生まれの人は、今でもたくさん生きている。私もそうだ。昭和は64年という長い期間存在した。だから昭和の記憶と言っても、世代によってかなり異なる。
例えば、戦前生まれの人は戦争の記憶とともに、戦後生まれの人は高度成長の記憶とともに、昭和を思い出すかもしれない。高度成長以後に生まれた人は、豊かな時代として昭和を記憶しているかもしれない。
平成も28年経過した。昭和に例えれば、平成も戦後時代に入ったわけだ。
ところで、現在において、平成という年号よりも2000年代・2010年代といった呼び方の方が、しっくりこないだろうか?昭和20年代・昭和30年代といった元号がリアリティを持ったのとは変わって、グローバル化した世界では、西暦の呼び方の方がリアリティがあると思う。
そう考えると、世界と一体になりつつあった1980年代以降の昭和と平成は似ていて区別がつかない。1980年代頃以降、元号のリアリティが薄れた。だから、現在イメージされている昭和は、高度成長期の昭和ではないだろうか。
昭和という記号は、グローバル化した世界に伴って霞つつあるが、一方では、戦後70年という言葉がどことなく影響を持っているように、高度成長期の昭和のリアリティも消え去らない。
高度成長期の昭和がリアリティを持つのは、今も高度成長期のように、発展し続けていきたいという欲望が日本社会にあるからではないだろうか?
成長という神話が消えたとき、昭和のイメージも消えるのかもしれない。