何にリアリティを感じるか?
これは世代によって異なる。例えば、離婚することについて常識に反していると考える世代と離婚をそれほど不思議とは感じない世代。ある書物によると、最近の20代はおまじないや来世にリアリティを感じるという。こうしたリアリティは30年ほど前の20代には、ほとんどなかった。
リアリティを感じるとは、それが起こりうる、ありうる蓋然性が高いと考えるということである。離婚が起こりやすいと考える。それは家族の不安定さ・存在のなさを物語っている。来世がありうると考える。それは現世に実り豊かさを感じていないということである。
異性を好きになり、結婚し、円満な家庭を築き、けれどお互いの感情の行き違いから二人の関係がぎくしゃくし、希薄になり、やがて離婚へと至る。離婚にリアリティを感じるということは、その二人の厚みのある時間を消去し、離婚という結果にしか、目を向けていないとも言える。来世にリアリティを感じる場合も同様である。
離婚や来世にリアリティを感じる世代は、薄っぺらい家庭や現在しか生きていないということかも知れない。
手を伸ばせば届きそうな思いを抱きながらも消えていった人たち、への愛惜の感情も、地に足をつけて生きていればこそ、生まれる感情だと思う。