昨日、旅の最終日、まだ行っていないところで静かな場所と思い、山口県周南市徳山に宿泊した。以前の徳山市だ。
ホテルの目の前に瀬戸内海が横たわっていた。静かに打ち返す波の音が、桟橋にあたり、岸にあたっては、微かなざわめきとなって消えて行く。
遠くの方には大小様々な島が点在し、その間を縫うように、タンカーや漁船や砂利船や遊覧船がゆっくりと走って行く。
時間がゆっくりとゆっくりと動いている。誰かがこのゆっくりとした時間を作り出している。それは海なのかもしれない。
怠けているのではない。ここでは、この時間の流れが普通なのだ。
夕方頃ホテルに入り、あとはずっと部屋で過ごしていた。
こういう町もいいなと思った。お店がある訳でもなく、観光場所がある訳でもなく、しかし落ち着いていられる。
窓の外から見渡せる景色は、ありふれた駅前の風景だ。駅があり、駐車場があり、線路があり、港がある。
旅に、日常に、我々は何を求めているのだろうか。全てはありのままに動き、なんの不自然さもなく我々の前に姿を現わす。
なぜめぐり逢うのかを私たちは何も知らない。
いつめぐり逢うのかを私たちはいつも知らない。
どこにいたの。生きてきたの。
遠い空の下。二つの物語。
中島みゆき「糸」
誰もが、みんな、幸せに生きてくれればと思う。
それは私も同じ。誰もイエス・キリストのようにはなれない。
だから、静かに打ち返す波のように、生きていければ、それが一番の幸せだと思う。