そこにたくさんの人がいて、あちらにたくさんの人がいて、街は社会は人で溢れている。そのどの人の声色も一つ一つ違うように、一つ一つの性格も異なる。
海を見たり、桟橋を見たり、鳥が川面近くを旋回して大空へと飛び立っていくのを見たりしても、人は皆異なった表情・反応を示す。もちろん、その反応をカテゴライズして、グループ分けすることはできる。なんの根拠もない血液型性格分類もそうだが、人の性格をいくつかに分けることはできる。
しかし、本人が何を考えているのか、本当のところは誰にも分からない。そして、それは本人にも分からない、と考えることもできる。
暑さを避けて本屋も買い物も行かないでいたが、今日はぶらっと出かけて見た。
山鉾巡行は終わったとは言え、まだ祇園祭は終わっていない。巡行の熱気を冷ますかのように、街のあちこちに祇園祭期間の徴が見える。
本屋に行ってから、いつもは通らない五条方面へ向かった。
五条方面は、なかなか行く機会がない。というか、四条に行けば事が済むので、それ以南には向かわない。
京都らしい、町の中のお寺という風情である。
もう随分前に、バンコクことクルンテンプに仕事で滞在したことがあった。バンコクも京都に似ていて、街のあちこちにお寺がある。チャオプラヤ川の悠々とした流れを背にして、巨大で煌びやかな寺院があちらこちらに聳え立っていた。
夜に街中を徘徊してみたが、京都に似ていて、閉ざされた空間ではなく、お寺や屋台や子供達を通じて、地域の共同体が機能している印象を受けた。
古くから続く町では、伝統や習わしを通じて、今でも共同体という仲間同士の連帯が生きている。
指紋と同じく、声紋も一人一人違う。
似た指紋・似た声紋・似た性格の人はいる。だけど、それを一緒くたにすると、判断を間違える。
マニュアルや作法は必要だが、それを元にして超えていかねばならない。
それが現実への一番の接近方法。法・作法は破るためにこそある。
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数日前、グーグル検索画面にジョルジュ・ルメートルなる人物が掲載されていた。宇宙物理学者だ。彼は19世紀末に生まれ、20世紀前半を生きて、宇宙物理学者とカトリック司祭を兼任した。
彼の生涯を読んだあと、こういう生き方をした人もいるんだなあ、と思った。宇宙と宗教、どちらも果てし無い。素敵だなと思った。
中学生の頃、科学が好きで、Newtonという科学雑誌を購読していた。学校の理科はつまらなかったけれど、Newtonは最先端の宇宙に関する科学情報が掲載されており、よく分からないところも多々あったが、眺めているだけで楽しかった。
(トリヴィアな情報だが、天文学者ハッブルは、スポーツ万能でボクサーとしても一流であった)
宇宙は無限だという。心も無限だという。外なる世界と内なる世界の無限。