朝からスターウォーズ最新作を見に行った。
今回の作品は、ストーリーを再現するのが難しかったのだろうと思う。
技術的なSFXなどの問題ではない。
善と悪が絡み合う複雑な微妙なニュアンスをどう表現するのか?
全き善がいるのではない。全き悪がいるのではない。その両方を気にかけながら苦悩している存在がいる。
そうした人物をどのように描くのか?
スターウォーズ最新作は、この点に焦点を合わせると、今までの単純な善悪構図から離陸した新しいスターウォーズが現れたと言える。
その苦悩している人物とは、ベン・ソロことカイロ・レンである。
しかしながら、カイロ・レンだけではなく、レイ、ルークもカイロ・レンの苦悩を仲立ちとして、苦悩する存在として描かれている。
良い人、悪い人を表現するのは容易である。
しかし、良い人でありつつ悪い人へと様変わりする人を描くのは難しい。その逆も難しいだろう。
カイロ・レンは善の部分を残しながら悪に染まったけれど、善に戻る余地もあるかのように、ないかのように描かれる。これは難しい。
カイロ・レンを演じたアダム・ドライバーは、その際立った演技力で、この難役を見事に演じているが、今回のスターウォーズは全体として失敗作と思われた人も多いと思う。それは、カイロ・レン、レイ、ルークの性格と行動がしっくり来ない、分かりにくい点からくるのではと思う。
スターウォーズシリーズは、当初のSFジャンルを保持しながらも、その軸足を人間劇に大きく移している。
銀河系の戦いを描いたスターウォーズ旧三部作が、新三部作によって、ダース・ベイダーの誕生を描くというダイナミックなヒューマンドラマに変貌し、さらに、フォースの覚醒に始まる新々三部作によって、善と悪の入り乱れた複雑なストーリを描こうとする。
嘗て浦沢直樹は『MONSTER』において、善から悪へと変身し、さらに悪から善へと戻ってくる人物ヨハンを造形するという離れ業を行なった。
MONSTER 全18巻 完結コミックセット(ビッグコミックス)
- 作者: 浦沢直樹
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/01
- メディア: コミック
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
『スターウォーズ』シリーズが、次回の最終作で、どんな展開・結末へと至るのか?
40年近くを賭けた一大プロジェクトが終わりを迎える。