坂本龍一の最新作『async』とは、非同期という意味である。
asynchronization、非同期。シンクロしない。波長が合わない。非同時、非同調、非協調性。
しかしながら、この音楽は非同期だから、環境とシンクロしないのではない。
非同期だからこそ、どんな環境とも同期してしまう。
言ってみれば、同期するということは、少数の何物かとシンクロしているということである。
だから、そのシンクロしている少数の何物か以外の外部の環境とは、シンクロしていないということである。
反対に、非同期ということは、何物ともシンクロしていないからこそ、どんなものともシンクロしてしまう。
実際、この音楽を聴きながら街を歩いてみれば、不思議なくらい街の音に音楽が溶け込んでいくのが分かる。心地いい。
全編に渉って、ピアノやシンセサイザーや街の音、人の声、何の音だろう?不思議な音も流れて来る、、、様々な音が重層的に途切れなく時を刻んでいく。
その音の流れに耳を傾け、身体を預ければ、この上ない至高の音の空気を、感じ取ることができるだろう。
以前書いた文章で、坂本龍一に触れた部分がありました。
貼り付けておきます。