ojos de perro azul:青い犬の目

青が好き。時々刻々と興味・関心が移ろいで行きますが、あまり守備範囲は広くありません、

リーダーシップ、個人と集団の力学

f:id:jauma1th:20170502103707j:plain

連合艦隊司令長官山本五十六語録にこうある。

 

「やってみせ 言って 聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は 動かじ」

 

リーダーの規範として、山本が常日頃、口にしていた言葉らしい。

これを当たり前だと思う人は、リーダーや責任者をやったことがない人か、責任者であっても自分がすべきことをやっていない人だと思う。

 

日々、自分の配下の人たちを効率よく動かそうと考えている人は、この言葉を当たり前だと軽々しくは言えないだろう。

この言葉には含蓄があり、山本がリーダーとしてどれほど優れていたかを物語るものだと思う。

 

私もリーダー・責任者の端くれとして、若い頃から任に当たって来たが、集団を手際よく円滑に動かすことは、並大抵のことではない。

教室の生徒たちを統率して授業を行うこと、課の責任者として小型案件から大型・特殊案件までをスムーズに処理していけるように采配すること、工程の管理者として仕損少なく、稼働率を良好に保持して生産することなど、様々な責任者の立場があるだろう。

 

集団を統率した過去の人物で、凄かったんだろうなと思える人たちは、あまた存在するけれど、例えば身近では新撰組近藤勇は、その中でも凄腕だったと思う。

あれほどの数の荒くれ者の集団を統率して、京の町の取締りを行い歴史に名を残した。

 

集団を率いて目的を達成するためには、個人の利益より集団の利益が優先される。個人が犠牲になり、集団というひと塊りが優先される。

戦争においては、個人の戦死という最悪の事態の上に、国家の勝利という利益が優先される。

会社においても、個人の残業やノルマの高さといったストレスの上に、会社の利益獲得が優先される。

 

こうした個人よりも集団の優先という状況を前提として、リーダーは、その状況にどのように介入していくのか。

ただ、ひたすら会社を優先し個人を犠牲にするだけでは、誰もリーダーに付いて来てはくれない。しかし、個人の我儘を聞いて集団の利益を損なうような責任者ならば必要ない。

最もバランスのとれた作戦は、集団の利益の中に個人の利益を見させるという方法である。実際、小規模の会社であれば、個人の成績の良さが会社の利益となって跳ね返り、個人の給料に直結する。

けれど、賃金が固定制の個人の場合、自分が頑張ろうが怠けようが給料が一緒なら、そんなに頑張らなくていいや、となる。

ならば、給料とは別の領域で、個人の利益に繋がるものを発掘し与えればいい。

それは、一つは遣り甲斐だろう。責任を与えたり、リーダーの権限の一部を譲渡して、集団を回すためにはあなたの力が必要だという、その人の力量を認める形で集団を運営できれば、そこでは、個人も会社も考えた環境づくりが可能となる。

ただ、現実に即して言うならば、各個人の性格・能力・モチベーションといったいくつかのファクターを、各人ごとに観察して精確に見定め、個人ごとの総体的なポジションに応じた役割を与えることが、最も大きな稔りをもたらすと思う。

 

まずは自分の配下の人たちとの親密な関係性を築くこと。そうすれば、そこから各人に適した配置を導き出すことは容易になってくる。

人に興味を持つこと、そして人を知ろうとすること。

これもまた、山本五十六語録の言葉に劣らないリーダーの規範だと思う。