今日は、珍しく半日だけ出勤した。
のんびりと仕事もでき、帰りものんびりと帰った。
土曜日の午後。
開け放たれた風景を前に歩いていると、私も若い頃にはこうした澄み渡る景色の中を、茫漠とした時間とともに歩んでいたなと思った。
いいもんだなと思った。この瞬間をしっかり見つめておこうと思った。
日本から一番遠い国アルゼンチン。その中でもさらに遠いビーグル水道に臨む町ウシュアイア。
遠い昔、マガリャネスはマガリャネス海峡を発見して、大西洋から太平洋への横断に成功する。
フエゴ島のウシュアイアやプンタアレナスの人たちは、何を思い、何を見て歩き続けているのだろう。
田園地帯が広がる琵琶湖近くの町の風景。
東海道新幹線がその中を疾走する。
遠くの景色と近くの景色が交差する。
涙が溢れ出す前に、心が泣き出さぬように、空を仰いでみる。
武蔵野台地の片隅にあるマクドナルドの2階から、地上の景色を見下ろした。
夕暮れ迫る水戸の街の喫茶店で、夜の帳を感じた。
どこまでも続く関東平野の果てを目で追っているうちに、沈んでいく夕陽が、街を行き交う高校生や買い物帰りの主婦をシルエットにする。
近くの公園のブランコが揺れている。
プイグも蜘蛛女のキスを書きながら、監獄の中に公園のブランコを見たのだろうか。
岡山駅前近くのひっそりとした住宅街を、どこに向かっていくのか、お母さんと子供が連れ立って歩いていく。
時と場所がどこまでも伸縮し移動していく。