昨年12月にNHKで、レヴィ=ストロースの『野生の思考』が中沢新一によって紹介される番組があったみたいだ。テキストも発売されていた。
レヴィ?ストロース『野生の思考』 2016年12月 (100分 de 名著)
- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/11/26
- メディア: ムック
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私が大学に入学して最初に買った書籍がこの本だった。その本は今でも大事に手元にある。
- 作者: クロード・レヴィ=ストロース,大橋保夫
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1976/03/30
- メディア: 単行本
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私は小学校高学年から中学・高校生の頃にかけて、少し背伸びする癖のある少年だった。
分かりもしないのに、ドイツ語ってどんな言葉なんだろう?とか、レヴィ=ストロースを始め、当時流行していた現代思想の中身をもっと知りたくて、読解力もないのに、難解な書物とにらめっこしていた。
その延長で、大学に入学してすぐに『野生の思考』を買った。
けれど、大学生活は私自身を少しずつ変えていった。
学問や本よりも、もっと動きのある生活をし、クラブ活動にのめり込んで、大学卒業まで買った本はほんの少しだった。
私が本当に読解力を身につけて、貪るように書物を読み始めたのは、社会人になってからだった。
読解力は、結局、分からない部分は分からないと正直に認めて、そこを分かるように時間をかけて解読していくということに尽きる。
そういう訓練を続けていると、どんな難しい内容に出会っても、歯が立たないことはなくなっていく。
そして、読解力がついてくると、今度は、それぞれの著者の文章の癖・表現方法といったものに興味が湧いてくる。
中沢新一は、一時期オウム事件のバッシングで酷い目に遭っていたようだけれど、今でも旺盛な研究活動をしている。
彼の書いた「アースダイバー・シリーズ」は、彼の最近の著書の中では一番面白いと思う。
現在とは地形の異なる遠い昔の地形。
縄文時代やもっと前の地形から、町や都市がどのように形作られていったのか。
遠い昔の地形を見ながら、当時の歴史を見つめ直すと、今までの歴史とは異なる風景が見えてくる。
この本には、レヴィ=ストロースの声が何重にも木霊している。