子供の頃、正月の風景は静かな、ひと気のしない町だった。
とほい空でぴすとるが鳴る。
またぴすとるが鳴る。
ああ私の探偵は玻璃の衣裳をきて、
こひびとの窓からしのびこむ、
床は晶玉、
ゆびとゆびとのあひだから、
まつさをの血がながれてゐる、
かなしい女の屍体のうへで、
つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。
しもつき上旬(はじめ)のある朝、
探偵は玻璃の衣裳をきて、
街の十字巷路(よつつじ)を曲つた。
十字巷路に秋のふんすゐ、
はやひとり探偵はうれひをかんず。
みよ、遠いさびしい大理石の歩道を、
曲者(くせもの)はいつさんにすべつてゆく。
大正時代の詩人、萩原朔太郎は「殺人事件」という詩の中で、こう呟く。
藤子不二雄のドラえもんにも、正月を連想させる静かな町の風景が登場する。
萩原朔太郎の詩は、シーンとした町の風景だからこそ、探偵と曲者の像が浮き彫りになる。
遠い空で鳴るピストルの音も聞こえてくる。
年末、大阪の街で、里親を探しているワンコを支援するNPOに出会った。
私は犬を長年飼っていたこともあって、殺処分される動物たちのことを考えると、じっとしてはいられなくなる。
と言っても、無力な私は何もすることができない。できることと言えば、こうしたNPOへの募金ぐらいが関の山だ。
けれど、今年はこうした動物のために、もう少し何かできればなと思っています。
私の周囲には様々な人がいる。
今年はそうした人たちをもっとよく見て、彼らがもっと生き生きできるように、気配りをしていきたいと思います。
明日晴れるかなを歌っていた彼はどうしているだろうか?
彼には、見かけの繊細さの奥に、人には真似できない優しさが見え隠れしていた。
「愛」なくして「憎」もない
見てないようなふり
その身を守るため
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。