京都は古い町である。
古より都が置かれ、数々の歴史的な出来事の舞台となり、この町なかで多くの人々が死んでいった。
そうした過去の痕跡が京都には数多く点在している。
勿論、応仁の乱でそれ以前の多くの歴史的な建造物が焼失してしまったけれど、注意深く観察すれば、至るところに、過去の重みを携えた空間が控えている。
化野、鳥辺野、蓮台野といった風葬地帯は、その昔、この町でどれだけの無残な名もなき死者が生まれたのかを如実に物語っている。
京都は観光都市として発展してきたこともあって、中心街の四条・御池・烏丸・河原町で囲まれたブロックなどは、お洒落な意匠を凝らして観光客を惹きつけているけれど、嘗ての京都の泥臭さは無くなってしまった。
けれど、千年の都として栄えた町から、そう簡単には過去の痕跡が消失したりはしない。
京都の町を隈なく注意深く歩き回れば、こんなところ見たことない、と思えるような空間に出会えるはずである。
現在の中に過去の膨大な堆積物を隠しもっている京都。
そうだ、京都に行こう。