旅行に行く前、たまたま『ネオ寄生獣』を読み始めた。なかなか面白いので、旅行に持っていった。それで『寄生獣』本体も読みたくなり、移動中ネットで読んでいた。
昔読んで衝撃を受けたが、再度読んでもやはりすごい作品だと思った。20年前の作品とは思えない。この作品は目を覆いたくなるような酷たらしいシーンに溢れている。もしもただのホラー作品だったら、誰も読まないと思う。けれど、この作品にはむごたらしいシーンを支える哲学があり、また様々な人の愛情が描かれ、発想のユニークさ、投げかけている問題の深さから、多くの読者を獲得し、数ある漫画の中に屹立しているのである。
『寄生獣』は、種をテーマにしている。ある種が生き続けるために、他の生命体を犠牲にすることは許されるのか?寄生獣は人間に寄生し、人間を食糧とする。人間は自分たちが犠牲になることに我慢がならない。そんなことがあってはならないと奇声をあげる。けれど、人間こそ、様々な生命体の命を奪い生き延びている張本人である。生命体全体から見れば、人間のしていることは、人間中心の歪な行動に他ならない。
『寄生獣』が投げかける問題は、笑いごとではないし、誰もが疑問に思いながらもやり過ごしている問題だと思う。
寄生獣 新装版 コミック 全10巻完結セット (KCデラックス アフタヌーン)
- 作者: 岩明均
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/09
- メディア: コミック
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