ojos de perro azul:青い犬の目

青が好き。時々刻々と興味・関心が移ろいで行きますが、あまり守備範囲は広くありません、

躁鬱症

もう5年以上前のことになるが、母親が躁鬱症になった。かなり重症で、私が電話をすると泣き出し、なかなか泣き止まない。私が知っている強い母親ではない。躁鬱というくらいだから躁と鬱の波があるのだろうけれど、母親は鬱の状態がずっと続いていた。もしかしたら彼女は元には戻らないのではないかと危惧するくらいひどかった。

私は彼女が躁鬱症になったことで、色々なことを考えた。その原因が何なのか、どうしたらよくなるのか、躁鬱の状態を多少とも和らげられないか。

そして、躁鬱症に出会ったことで身にしみて分かったのは、この症状が心の、精神の病ということだった。もっと言えば、人間関係が原因で生み出される病ということだった。家族・職場・地域といった中での様々な人間関係、その中で生み出される他者との関係性は、人の精神に歪みを与えるほどの影響力を顕在的・潜在的に持っているということ、そのことを私は母親の心を通じて感じとった。

いかに他者との日常的な関係性を大切にできるか、どれだけ人をしっかりと見てその人のために発言したり行動したりできるか、そうしたことの積み重ねが日常を生きる上でいかに重要であるか、そのことを痛感した。

ただ、他者のことをきちんと考えて過ごす日常生活の先にこそ、躁鬱症が待っているのかもしれない。というのは、母親は人一倍、神経の細やかな人であったし、世の中というものをよく知っていて、機敏に動き、人の先を生きているような人であったからだ。