1990年代にジェイコブズラダーというベトナム戦争帰りの人物を主人公とする狂気の世界を描いた映画があった。この映画の題名は聖書創世記のヤコブの梯子から採られている。
シェーンベルクにヤコブの梯子というオラトリオがあるが、この作品はシェーンベルクが第一次世界大戦に従軍している期間に作曲されている。
聖書のヤコブ自身も兄を騙し逃亡している最中に天に昇る梯子の夢を見る。
戦争・狂気・策謀と天使。悪と善。
戦争の地獄を生きているものはその真逆の天使・神を求めるのだろう。ヴィトゲンシュタインは第一次世界大戦への従軍中、福音書を貪り読んだという。
けれど、悪人は善人への夢を見るのだろうか?見たとしても悪は善に辿り着けるのだろうか?