ojos de perro azul:青い犬の目

青が好き。時々刻々と興味・関心が移ろいで行きますが、あまり守備範囲は広くありません、

映画

イノシシとの戦い

宮崎駿の『もののけ姫』の冒頭で、タタリ神に取り憑かれたイノシシが登場する。 ところで、京都の護王神社はイノシシ神社とも言うのだが、この神社は和気清麻呂を祀ってあって、私は、イノシシ➡️和気清麻呂➡️奈良時代という連想をしてしまい、『もののけ姫』…

僕の心が、僕を追い越したんだよ

「僕らタイムフライヤー 時を駆け上がるクライマー 時のかくれんぼ はぐれっこ はもういいよ 君は派手なクライヤー その涙 止めてみたいな だけど 君は拒んだ 零れるままの涙を見てわかった 嬉しくて泣くのは 悲しくて 笑うのは 僕の心が 僕を追い越したんだ…

『君の名は。』、断絶する昼と夜、黄昏時の亀裂

『君の名は。』のキーワードは黄昏(誰そ彼)だ。黄昏時は、物理的に人と人の見分けが単につきにくくなるというだけでなく、古代世界においては、現代とは異なる時間意識が下地にあった。 古代日本においては、昼と夜は、連続していく時間の中に収まる二つの…

『秒速5センチメートル』、あなたまでの距離はどのくらいなんだ?

『秒速5センチメートル』のキャッチコピーは、「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」だ。 このアニメーションを見た人の中には、自分の経験と重なり合う人がそれなりにいるのではないだろうか? 概して、女性の方が男性よりも大人である。こ…

『君の名は。』、黄昏時の接続

誰そ彼と我をな問ひそ長月の露に濡れつつ君待つ我そ(万葉集)作者不詳 誰だろうあの人は、と私の事を尋ねないで。長月の夜露に濡れながら、あの人を待っている私のことを。 黄昏時、そこにいる人が誰だか分からなくなる。私とあなたの区別がつかなくなって…

クリストファー・ノーランが描く蝙蝠の世界

クリストファー・ノーランは蝙蝠の世界を描いた。空高く舞い上がり、華麗に飛び回る蝙蝠の姿は、ゴッサムシティの守護神が蝙蝠であることを告げている。 ゴードン率いるゴッサムのポリスが地上でジョーカーを狙い撃つ。夜の空にはバットマンがいて、地上に降…

シャイニング

先日まで、はてなの映画の夏と題するブログを募集していたが、私の長年のベストワン映画は『シャイニング』であった。中学生で見て以来、ずっと長い間、一番好きな映画だった。と言ってもホラー映画が好きなわけではない。ホラー映画は全く見ないし、気味が…

スターウォーズという物語

人に誘われたので、近々スターウォーズ展に行くことになった。 私はスターウォーズのファンだ。キャラクターも好きだし、ジョン・ウィリアムスの音楽も心躍る。でも一番好きなのは、その物語。スターウォーズを見たことがない人や、あんまりという人は、良い…

アポカリプス

新約聖書最後の文書『ヨハネの黙示録』は、新約の最後を飾るにも拘らず、新約の中で一番旧約的な文書です。バビロン崩落の預言を描くこの文書は、ユダヤ教徒や原始キリスト教徒たち、つまり虐げられた者たちへの共感と彼らの視点からの物語を活写しているか…

映像の世界

子供の頃、映画監督に憧れた。映像というものに物凄く惹かれた。中学時代には休みになると映画館に行き、食い入るように見入った。ストーリーや俳優に惹かれるという人も多いだろうが、私の場合、映画というよりも映像というものに戦慄した。だから、こうい…

漂流、キャストアウェイ

2000年の映画に『キャストアウェイ』という漂流物があった。Fedexでの仕事中、飛行機が墜落し、無人島で4年間暮らし、再び元の世界に戻っていくという波乱に満ちた生を描いた。 この映画の教えは何だろう? 人生は一直線に伸びる眺めのいい道ではない。予想…

ショアー、言語化の困難

今日はそろそろ明日の用意をして布団に入ろうと思っていた。けれど、たまたまネットのニュースを見たら、エリ・ヴィーゼル死去という一文が見えた。 私はエリ・ヴィーゼルの著作は読んだことはなく、名前を知っているだけである。だが、彼の名前からナチスの…

ピカレスク

ピカレスクという形象に魅かれる。ピカレスクとは、悪漢のこと。出自がいかがわしく、生きるために悪事を働いたりして、裏街道を生きる。けれど、その生きることの鮮やかさによって、人から一目置かれる。また、その最後は悲劇的。バリー・リンドン、ヴィド…

園子温、太宰治、宮台真司

紀子の食卓 プレミアム・エディション [DVD] 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント 発売日: 2007/02/23 メディア: DVD 購入: 4人 クリック: 205回 この商品を含むブログ (96件) を見る 自殺クラブなんて存在しません。この世界の方がずっと自殺ク…

時計じかけのオレンジ

時計じかけのオレンジ [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2010/04/21メディア: DVD購入: 9人 クリック: 51回この商品を含むブログ (68件) を見る 1971年の作品である。今見ても古くさくないというのは、驚きであると同時に、キューブリ…

ベンジャミン・バトン

この映画から与えられるメッセージは、人はみな特異な人生を歩むということだ。ベンジャミン・バトンの場合、極端に特異な人生を歩んだようにあらすじを読んだだけだと感じてしまうが、映画を観終わると、「人生とは人それぞれ特異なものだ」ということを我…

The Shawshank Redemption

1994年(平成6年)アメリカ映画。スティーブン・キング原作。 銀行副頭取→妻の浮気→妻殺しの冤罪→終身刑→脱獄→別人となって悠々自適生活。 波乱万丈の物語である。 この物語には、人の死がいくつも描かれている。しかし、どの死も淡々と静かに描かれて…