ojos de perro azul:青い犬の目

青が好き。時々刻々と興味・関心が移ろいで行きますが、あまり守備範囲は広くありません、

文学

デッサン、理解のための設計図

「絵画におけるデッサンとは、対象を理解するための設計図だ」 村上春樹『騎士団長殺し』に、そうした記述がある。 絵画の技法を、第三者として分析した時に出てくる言葉の一つだと思う。 絵画。音楽。映画。 いわゆる芸術と言われるものは、製作者の才能と…

切れ目のない日常の中で

村上春樹の新作『騎士団長殺し』を少し読んでみた。 一瞥したところ、村上の初期から続くテーマ、特に『ねじまき鳥クロニクル』以降のテーマ、作品構成を集大成してアレンジした小説のように思えた。 妻がいなくなる。芸術家が登場する。主人公に名前がない…

1995年1月17日、大地は裂けた

阪神大震災から22年が経過した。 時間が経つにつれて、少しずつ忘れられていくし、それは仕方のないことだけれど、大震災の教えを、少しでも後世に伝えていくべきだと思う。 私は東京にいたから直接、震災を体験したわけではない。 しかし、関西に住んでいる…

雪の降る夜は楽しいペチカ

今日もまた、結構雪が降った。 雪が降ると、やっぱりかなり寒い。猫もコタツで丸くなりたいだろう。 あまり寒がりではないが、さすがに寒いので、フード付きの大きめのネックウォーマーを買った。 これではないのだが、こういう感じで暖かい。 purplecow(パ…

ヘミングウェイ、偏見の奥に光る眼差し

ヘミングウェイの小説は、中学生の頃、訳も分からずに『武器よさらば』や『陽はまた昇る』などを、何冊か手にとって読んだことがあった。 けれど、大人になってヘミングウェイのイメージが、私とは正反対のいわゆる男性至上主義のごとく見えたし、世間もそう…

1970/11/25から遠く離れて

1970年十一月二十五日のあの奇妙な午後を、僕は今でもはっきりと覚えている。強い雨に叩き落とされた銀杏の葉が、雑木林にはさまれた小径を干上がった川のように黄色く染めていた。 ・・・ 「本当にしゃべりたいことは、うまくしゃべれないものなのね。そう…

『君の名は。』からの響き

映画『君の名は。』が大ヒットしている。 私はRADWIMPS繋がりでたまたま鑑賞したのだが、この物語のディテールが気になって、新海誠が書いた小説版『君の名は。』を読んでみた。 読んでみて、勿論、物語上のいくつかの謎を解読するための糸口は得られるが、…

芥川龍之介の死

太宰治や三島由紀夫はその衝撃的な自殺によって、死んだ日付が世間に刻印されている。6月19日(桜桃忌)。11月25日(憂国忌)。しかし、同じ自殺でも、芥川龍之介はその日付が刻印されるほどではない。戦前に死んだことを知っている人はいても、一月前の7月2…

今日は雨降りだった。夏頃の雨と聞くと、雨蛙を想像してしまう。木の葉っぱにちょこんと小さなアマガエルが乗っかっている姿を見たことがある。 英語の小説を初めて本格的に読んだのが、サマセット・モームの『雨』だった。ペンギンブックで、表紙に懐中時計…

満月、私たちは自然という環境の中で生きている

今日は満月。夜空にくっきりとお月様が見えている。 月は地球の衛星。地球の周りを回っている。満月になると犯罪が増えるとか、狼男が出現するとか、イライラするとか言われます。これらの真偽の方はともかく、満月が地球上の我々生命体に何らかの影響を与え…

好き嫌い

食べ物の好き嫌いは人様々である。 最近びっくりした好き嫌いは、炭酸飲料が飲めないというものである。理由を聞くと、子供の時に炭酸飲料を飲んで吐いてしまったらしい。今までに聞いた好き嫌いでは、トマトのどろっとした緑の部分が食べられない、卵を食べ…

象の消滅

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/03/31 メディア: 単行本 購入: 11人 クリック: 231回 この商品を含むブログ (251件) を見る 村上春樹『象の消滅』は、3部構成からなる。 まず僕が住んでいる町に象が…

檀一雄の空間

昔、檀ふみの自宅近くに住んでいたことがあった。だから、駅前のスーパーに買い物に行くと、たまに檀さんの姿を見かけることがあった。背が高く、遠くの方にいてもすぐに檀さんだと分かる、他の人とは違うオーラがあった。 檀さんは父親の檀一雄が大好きだっ…

naranja、ドノソ

naranjaとはスペイン語でオレンジのことである。この言葉にはアラビア語の響きが木霊している。 スペイン・グラナダにあるアランブラ宮殿に憧れたのは、そこにスペインとイスラームの混淆が見られたからだ。レコンキスタによってイベリア半島のキリスト教化…

ピカレスク

ピカレスクという形象に魅かれる。ピカレスクとは、悪漢のこと。出自がいかがわしく、生きるために悪事を働いたりして、裏街道を生きる。けれど、その生きることの鮮やかさによって、人から一目置かれる。また、その最後は悲劇的。バリー・リンドン、ヴィド…

太宰治、拒否感、墓石

長い間、太宰治の小説に抵抗感があった。教科書に載っていた『人間失格』はなんとか読めたが、その他の小説は挑戦するものの、いつも挫折した。理由はよくわからなかった。 読めるようになった今でも、少しずつ読めるだけである。すらすらとは読めない。 読…

村上春樹の物語

村上春樹の物語は、物分かりの良い筋書ではない。結論があると言う訳ではない。 彼の魅力はまず文章の細部に宿る。あちこちの文章に散りばめられた素直さ・正確さ・繊細さ・何気無さなど、現代人が心に抱えている襞を一つ一つなぞるような言葉の群れ。

園子温、太宰治、宮台真司

紀子の食卓 プレミアム・エディション [DVD] 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント 発売日: 2007/02/23 メディア: DVD 購入: 4人 クリック: 205回 この商品を含むブログ (96件) を見る 自殺クラブなんて存在しません。この世界の方がずっと自殺ク…

青の時代、青い犬の目

ピカソに「青の時代」という一時代があったことはよく知られています。青という色もさることながら、それと共に、描かれた対象が乞食・娼婦・ギター弾き・盲人など、社会のはぐれものであるところが共感を呼ぶのでしょう。 ブログタイトルの「青い犬の目 ojo…